ヒオウギの種子が姿を見せ始めました。園内各所で見られますが、「スワンヒルの庭」でたくさん見ることができます。
花が咲いている時期は、名前の通りお雛様が手にしている扇状に並ぶ葉に目が行きます。6枚の花被片からなるオレンジ色の花も、とても綺麗です。
そして今、黒い種子が見事です。「黒」と表現するだけではもったいないと感じてしまい、タイトルでは「漆黒」とさせていただきましたが、吸い込まれそうな程、真っ黒です。このヒオウギの種子は、万葉集では「ぬばたま」と表現され、枕詞として「夜」や「黒」といった言葉にかかります。万葉の時代(およそ西暦7世紀後半から8世紀後半)の人々は、ヒオウギの種子を見て、暗闇や黒髪といったものを形容しようとしたわけです。「時を超えても、一つの植物を見て同じ感覚を持てる」ことが素敵だなあと、感じてしまいます。
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