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「ぬばたま」  ヒオウギの漆黒の種子です

 ヒオウギの種子が姿を見せ始めました。園内各所で見られますが、「スワンヒルの庭」でたくさん見ることができます。

 花が咲いている時期は、名前の通りお雛様が手にしている扇状に並ぶ葉に目が行きます。6枚の花被片からなるオレンジ色の花も、とても綺麗です。

 そして今、黒い種子が見事です。「黒」と表現するだけではもったいないと感じてしまい、タイトルでは「漆黒」とさせていただきましたが、吸い込まれそうな程、真っ黒です。このヒオウギの種子は、万葉集では「ぬばたま」と表現され、枕詞として「夜」や「黒」といった言葉にかかります。万葉の時代(およそ西暦7世紀後半から8世紀後半)の人々は、ヒオウギの種子を見て、暗闇や黒髪といったものを形容しようとしたわけです。「時を超えても、一つの植物を見て同じ感覚を持てる」ことが素敵だなあと、感じてしまいます。

  

ホトトギス

「料金所を入って右に曲がり、ミヤマカスミザクラのY字路を左に曲がる」と、右側にホトトギスが咲いています。

 和名は「杜鵑草(ホトトギス)」。鳥のホトトギスの胸にある斑点と大きく開いた花被片の紫斑を重ねました。ちなみに鳥のホトトギスは「不如帰」と書くのが一般的なようです。ひと昔前のTVアニメに、尾の先から人を吸収する怪物が登場しましたが、まさしくこの斑点(色は異なりますが)でした。強烈な印象を受ける紫斑です。2株しかありませんので、花が咲いているうちにご来園いただければと思います。同じホトトギスの名を冠する植物では「タイワンホトトギス(吉林の庭)」が咲いており、もう少しすると「ジョウロウホトトギス(ロックガーデン)」が咲きます。

 北海道南西部、本州の関東地方以西・福井県以南、四国、九州に分布する日本固有種です。山地の半日陰地に生育する多年草で、茎は直立し、円柱形で有毛です。葉は2列に互生し、基部は茎を抱き有毛です。秋、葉腋に2~3花ずつ花序を出し、花は柄があり、上向きに咲きます。花被片6個は斜めに開き、外面は有毛で白質で、内面は濃紫斑があります。雄しべ6、花柱の分枝は3本で、さらに2つに分かれ、蒴果は3稜形で中に淡褐色の種子があります。

 

茎にも種にも見事な翼がついています ハネミギク

 今日は、ハネミギクの実をご覧ください。キク科の植物で黄色い花を沢山付ける様子を8月上旬のインスタグラムで紹介しました。1枚目の写真のように茎の翼が特徴的でしたね。すでに花も終わり、たくさんの実をつけています。実をほぐすと、4枚目の写真の種になります。種は平らで2本の角があり、両脇に茎同様、見事な翼があります。怪獣映画に出てきそうです。実は外側に向けて多数の角を出していますが、種の角だったのです。

 

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