観察日記

ヒガンバナ 争わない平和主義者

 ほかの草が枯れてしまい、落ち葉だけになったところに青々と葉を茂らせているものがあります。間もなく冬を迎えるというのにきれいな緑色の葉です。そう、ヒガンバナの葉です。花が咲いているころはたくさんの方が目を向けてくれるのですが、この時季だれも見向きもしません。「葉見ず花見ず」という別名があるヒガンバナ、花が咲いているときには葉はなく、葉が出ている頃には花はありません。葉と花が互いに会うことはないという意味の別名です。

 花が終わった10月から葉を茂らせ、ほかの草が枯れてしまう頃に葉が大きくなります。雪国ではいったん雪に埋もれ、雪が解けたころにもう一度太陽の光をいっぱいに浴びます。そして初夏、ほかの草が伸びてくるころに葉は隠れるように消えていきます。他の草と太陽の光を奪い合うように争うことなく、時期をずらして葉を茂らせ花を咲かせるための栄養を蓄えます。平和主義のヒガンバナです。

穂状の花をつけるもう一つのサクラの仲間 ウワミズザクラ

 北海道西南と本州、四国、九州の山野に自生し、日当たりがよく、小川沿いなど湿潤した環境を好みます。サクラの仲間。イヌザクラ、シウリザクラに先がけて咲きます。樹皮は灰 から 褐色。小枝の多くは落葉後に落ちます。葉は楕円形で先が急に細くなり、縁には鋸歯があります。花は長さ10 cmほど、白い総状花序は雄しべが目立ち、ブラシのように見えます。

 冬芽は、赤褐色で、6~8枚の芽鱗に包まれています。

イヌザクラの冬芽はシウリザクラよりふっくりしています

 本州~九州の日当たりの良い谷間などに生える落葉高木です。サクラの仲間で、樹皮は灰白色で光沢があり、淡褐色の横長の皮目があります。新枝は灰白色。葉は長楕円形で先端は尾状に長くとがり、基部はくさび形。ふちは波打ち、やや浅い鋸歯があります。蜜腺は葉身の基部。花は葉の展開後、総状花序に白い花がブラシのようにつきます。シウリザクラは花序枝の下部に3~5個の葉がつきますが、イヌザクラは花序枝の下部に葉をつけません。   「ひょうたん池」の西側、ミヤマカスミザクラのそばにあります。

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