観察日記

ハウチワカエデの名は、葉を天狗の羽団扇(はうちわ)に見立てたもの

ハウチワカエデ(ムクロジ科)

 日本の北海道および本州の中部以北に分布します。国外では朝鮮半島に分布します。山地に生える落葉樹です。樹高は5~10m。小枝の皮は粘着性があります。葉は対生し、縁には重鋸歯があり、花時の葉両面には白色の軟毛があります。成葉では裏面の脈上や脈腋にのみ毛が残ります。春、新葉とともに暗紅色の小花を下向きにつけます。雄花と両性花が混生します。花軸や花柄には綿毛があります。萼片5、花弁5、雄しべ8。翼のある果実には毛があります。メイゲツカエデともいいます。葉柄が長いものは、コハウチワカエデです。

 和名「羽団扇楓(ハウチワカエデ)」は、葉の形を天狗の羽団扇に見立てたものです。楓は葉がカエルの手に似ていることからです。

アカイタヤの別名はベニイタヤ

アカイタヤ(ムクロジ科)

 北海道、本州(東北地方~島根県の日本海側)、四国、九州 の山地に自生します。日本固有種です。山地に生え高さ20~25mになる落葉高木です。雌雄同株です。葉は対生し、横長五角形です。春の展葉期には、葉が赤味を帯びる特徴があります。葉柄は表面が紅色を帯びます。下面の脈腋にのみ毛があります。雄花と雌花(両性花)が、1つの花序内(あるいは個体内)で雑居しています。葉を開く前に、散房花序に淡黄色の小さな花をつけます。果実は毛がなく翼は直角または鋭角に開きます。5月頃からでき始め、10月頃になると褐色に成熟します。別名、ベニイタヤ。

 和名「赤板屋(アカイタヤ)」は、赤は新芽や葉柄が赤味を帯びることから。また、板屋は雨宿りができるくらいに、葉がよく繁り、板でふいた屋根のようなのでついた名前です。紅板屋(ベニイタヤ)も同様です。

イロハモミジの葉の裂片で、「いろはにほへと」を数えました

イロハモミジ(ムクロジ科)

 本州の福島県以南、四国、九州に分布します。国外では朝鮮半島の南部、中国、台湾に分布します。山地にもあるが庭に植えられる落葉樹です。葉には柄があり対生します。春、葉とともに暗紫色の小花をつけます。雄しべだけを持つ雄花と、雌しべと雄しべの両方を持つ両性花を咲かせます。萼片5、花弁5、雄しべ8。翼をもった果実を結びます。園芸品種が多くあります。秋に美しく紅葉します。翼果は2個セットで付いていますが、ほぼ水平に開きます。似ているヤマモミジはV字型(ブーメラン型)に付きます。別名で、イロハカエデ、タカオカエデなどとも呼ばれますが。

 和名「いろは紅葉 ・伊呂波紅葉(イロハモミジ)」は、葉が手のひらのように5 ~ 7つ裂片があり、この裂片を「いろはにほへと」と数えたことに由来します。「高雄楓(タカオカエデ)」の名は、京都の高雄が名所であることに由来します。また、「カエデ」は葉の形がカエルの手(前脚)の形に似ることから「蛙手」の意味で名付けられました。

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