観察日記

コウヤワラビ

「大平沼東屋向かい側テングタケの隣」のコウヤワラビです。群生しています。

 原野などの湿った地に生えます。根茎は細長く横にはい、上側から葉をまばらに生じます。葉は高さ30~60cm、薄くて無毛です。葉柄は直立し長さ20~40cm、葉は1回羽状に分裂します。胞子葉は栄養葉と同株に生じ、柄が長くて2回羽状に分裂し、羽軸多数の球形の小羽片をつけ、その内部にソーラスが包まれています。

 和名は「高野蕨(コウヤワラビ)」。本種が和歌山県の高野山に産すると思われたことによりますが、実際には本種は高野山では見つからないし、過去にも記録がありません。

野草園で綿菓子? 「カツラの落ち葉」

 この時季、園内を散策していると、甘い香りが漂ってくることがあります。「誰か、綿菓子を食べているの?」と思ってしまいますが、そのような方は見当たりません。皆さん、もうおわかりですね。カツラの落ち葉から出ている香りなのです。「野草の丘」「東トイレ付近」「スワンヒルの庭東側」等で、体験できます。

 カツラは、北海道から九州まで日本全国の山地に分布し、ブナ林域などの冷温帯の渓流などに多く見られる落葉高木です。雌雄異株で、早春、葉が出る前に葉腋に小さな花を開きます。材は丈夫で腐れにくく、軽くて柔らかく加工しやすいうえ、狂いが少ないので、家具や将棋盤、囲碁盤に利用されています。

 カツラの落ち葉が甘く香るのは、葉に含まれるマルトールという香気成分によります。 この香りは新鮮な葉ではなく、乾燥した葉から放出されることが分かっています。ですから、落葉する前の葉は匂いません。また、茶色になる前の黄色い状態の時が、最も香りを発するようです。自然学習センター内にかごに入れた落ち葉を準備しましたが、できれば直接落ち葉を踏みしめ、この時季にしか体験できない贅沢を味わっていただきたいと思います。

シモバシラが花をつけました

 頂いた鉢植えのシモバシラが「学習センターピロティ」の階段に置いてあります。なかなか山形では見ることが難しい植物なのでご紹介します。

シモバシラ(シソ科)

 本州(関東地方以西)、四国、九州に分布します。日本固有種です。山地の木陰に生える多年草で、茎は四角形でかたく、高さ60cm位になります。葉は対生し、短い柄があり、広披針形で先は尖り、縁に鋸歯があり、脈上に細毛があって、下面に腺点があります。秋、枝の樹部の葉腋に長さ6~9cmの総状で一方に花をつける花穂を出し、短い柄のある白色で小形の唇形花を多数つけます。

 和名「霜柱(シモバシラ)」は、冬枯れた茎に氷の結晶ができるので名付けられました。

 シモバシラの茎は冬になると枯れてしまいますが、根はその後も活動を続けるため、枯れた茎の道管に水が吸い上げられ続けるそうです。そして、外気温が氷点下になると、道管内の水が凍って、茎から霜華(しもばな、そうか:氷の結晶でできた氷柱)ができるのだそうです。見るのが楽しみです。

 

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