観察日記

秋の七草 クズ

 ゲートから野草園にご入場いただいてすぐ、左側でクズの花が咲きだしました。敷地内ですが道路沿いになりますので、ご覧いただく際は、交通安全にご留意ください。「七草の庭」のフジは、勢いよく蔓を伸ばしていますが、花芽を見つけることができずにいます。

 温帯および暖帯に分布し、北海道から九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布しています。山野に見られる大形の蔓状草本で、茎の基部は木質になります。葉は大きく3出複葉で、葉腋から総状花序が上向きに立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する蝶形花を房状に密集してつけ下から順に開花します。根は太く多量のでんぷんを含んでおり、葛粉(くずこ)がとれます。食用の他薬用にも使われ、万葉の昔から秋の七草の一つに数えられています。

 和名は「葛(クズ)」。大和(奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来します。「葛湯」や風邪のひきはじめに服用する「葛根湯」は、良く知られていますが、こんなにきれいな花が咲くんですね。

 

ハンゲショウ

 「水辺の花コーナー」で、ハンゲショウが咲きだしました。

 日本の本州以南、朝鮮半島、中国、フィリピンなど東アジアの亜熱帯性湿地に分布し、日の当たる湿地などにて太い地下茎で分布を広げて群生する多年草です。高さは1m位になり、草全体に一種の臭気があります。根茎は白色で横にはい、茎は直立し、葉は有柄で互生します。初夏、茎上部の葉2~3枚は表面が白くなり、この葉に対生して穂状の総状花序を出し、多数の白小花をつけます。花は有柄で花被はありません。雄しべ6~7、雌しべ1です。カタシログサともいいます。

 和名は「半夏生」。夏至から数えて11日目から5日間を半夏生と言い、農作業の目安とされますが、ちょうどその頃に花が咲くことに由来します。花に近い葉だけが白くなります。マタタビと同じように、虫への目印なのでしょうね。

レンゲショウマは恥ずかしがり屋さん?

 「ミヤマカスミザクラ横」でレンゲショウマが咲き始めました。

 本州(東北地方南部~近畿地方)の太平洋岸の温帯域に分布し、山地から深山にかけての湿り気のある林下に生える多年草で、日本固有種となります。葉は大形で2~4回3出複葉で、小葉は卵形です。茎の上部に淡紫色の花をまばらに下向きにつけます。萼も花弁も共に花弁状に見えます。萼は花弁状で平らに開き、花弁は雄しべ・雌しべを抱えるように咲くため、一見では二段構えに花弁が並んでいるように見えます。

 白が萼で、中の紫色が花弁です。可憐ですね。恥ずかしがり屋さんなのでしょうか?下向きに咲きますから、そっと見上げてください。

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