観察日記

ウラシマソウがたくさん出てきました

ウラシマソウ(サトイモ科) 

 園内ひょうたん池の西側にもありますが、マグノリア通りの円形花壇「オオヤマザクラ」の西側に6株程小群落をつくって咲いています。

 日本の本州、四国を中心に、北海道と九州の一部に分布する宿根草の多年草です。茎先に肉穂花序(花軸が多肉化して花が表面に密生したもの)を出します。 花序は仏炎苞に覆われています。 仏炎苞の名は、仏像の背景にある炎形の飾りに見立てたものです。 仏炎苞の色は暗い紫色です。 また、花序から付属体が細長いひも状に伸び上がり、途中から垂れ下がるのが特徴です。

 和名「浦島草(ウラシマソウ)」は、花序の先端の付属体は釣り糸状に長く伸長するので、浦島太郎が持っている釣り竿の釣り糸に見立てたとされています。

ミヤマカスミザクラ、一気に開花が進みました。

ミヤマカスミザクラ(バラ科)  料金所入って直ぐの西側にあります。

 本園の元職員の志鎌節郎さんが以前からこの場所に自生していたサクラの木が、他のサクラとは違っていることを発見しました。そこで、サクラ研究の第一人者の東京大学名誉教授の大場秀章先生に詳しい研究をお願いしたところ、ミヤマザクラとカスミザクラが自然交配したサクラであることがわかり、2012年8月に和名「ミヤマカスミザクラ」と論文に掲載されました。学名は発見者の志鎌節郎さんの貢献を讃えて「Cerasus x shikamae H.Ohba」と命名されました。世界で当園でしか見られないサクラです。。花弁の先端が2つに裂けていて葉と花が同時に開くカスミザクラと、花軸が枝分かれしているミヤマザクラの双方の特徴が受け継がれています。花の色は、カスミザクラよりも白いです。

「クリンソウの谷」の南側の20m程の所に3種類のネコノメソウが見られます。

ツルネコノメソウ(ユキノシタ科)  水路岩場にあります。

 山地の沢沿いの湿地などに生育する多年草です。枝は葡匐(ほふく=走出枝:ランナー)し、細長く伸びます。根生葉は長い柄をもち毛があります。花茎は高さ5~15cmで、茎葉は互生し柄があります。春、茎の頂が分枝して淡い黄緑色の小花をつけます。萼片4で花弁はありません。雄しべ8、蒴果(さくか)は2裂します。葯は黄色。別名はヒメネコノメソウ。

 和名「蔓猫の目草(ツルネコノメソウ)」は、匍匐茎を伸ばし繁殖し、蒴果の縫線がネコの目に似ていることに由来します。

ネコノメソウ(ユキノシタ科)  「クリンソウの谷」の三角コーナー(南端)にあります。

 山中や山麓の陰湿地に生える多年草です。茎は横に伏し、高さ5~20cmの花茎を出します。葉は対生で柄があり、淡い緑色です。花のそばの葉は黄色です。春、茎の頂に淡黄色(たんこうしょく)の小花が集まってつきます。萼片は4で直立し、花弁はありません。雄しべは4、蒴果(さくか)は2つに深く裂け、裂片(れっぺん)は不同です。先端に1本の縫線(ほうせん)があります。

 和名「猫の目草(ネコノメソウ)」は、蒴果の縫線の深く細く裂開した様子が、瞳孔が縦に狭くなった昼間のネコの目に似ていることにちなみます。

ミチノクネコノメソウ(ユキノシタ科) ツルネコノメソウとネコノメソウの間にあります。

 山地の谷沿いの林下に生え、高さ5~20cmになる無毛の多年草です。花茎は暗紅色を帯びます。ロゼット状の根生葉があり、花時まで残ります。茎葉は狭い扇形で小さいです。苞は茎葉より大きく、上半部に不規則な鋸歯が目立ちます。苞に囲まれて花がつき、花は直径3~4mm。花弁はなく、萼片は黄緑色で4個あり平開します。花盤は淡黄緑色です。雄しべは8。裂開直前の葯は橙赤色~淡橙黄色です。花柱は2個です。花後に根生葉の腋から細長い匐枝を出し、途中に1対の葉をつけて出根し先端にロゼットをつくり越冬します。果実は蒴果で、2個あります。

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